オーガニックスーパーに行くとベジタリアン向け商品をよく目にします。生鮮コーナーには必ずと言っていいほど擬似肉が置いてあり、その種類は豊富。今回は、見た目につられてつい買ってしまったセイタンで作られたハムを紹介します。
セイタンとは何か?
以前のブログ『フランスのベジミートに醤油&味噌…!?』でも一度書きました。セイタンとは、グルテンを主原料に使った料理のことです。海外では擬似肉製品として多くの菜食主義者に愛用されています。一方、日本では大豆ミートの方が擬似肉としての認知度が高いですね。例えばモスバーガーが先日出した「グリーンバーガー」のパティーは大豆ミートを使っています。しかしながら、実はこのセイタンの生みの親は日本人だと言われているのです。
セイタンで作られたハムを観察
外観
購入したのはスモークタイプのハムです。100gで5枚入っています。
中身
正方形だからかハムという感じはしそうでしてませんね。
原材料
セイタン85%(水、小麦グルテン)、高オレイン酸ひまわり油、岩塩、酵母エキス、玉ねぎ、増粘安定剤(ローストビーンガム*、グァーガム*)、香辛料、ブナのスモークチップ*(自然由来)
*青いマーカーは有機栽培で作られたものです。
【増粘安定剤】
・ローストビーンガムは、常緑植物のカロブ豆から得られる多糖類でアイスクリームやゼリー、プリンなど冷菓に使われます。
・グァーガムは、マメ科植物の種子から得られる多糖類で液体に粘りやとろみをつける際に用いられます。
【スモークチップ】
・ヨーロッパではハムやウインナーなどの加工肉食品の燻製にブナの木のスモークチップがよく使われます。
食べた感想
今回は、サンドイッチでいただきました。
サンドイッチの中身
セイタン、バゲット、レタス、マッシュルーム、玉ねぎ、アラビアータソース、マスタード
この他に、オリーブオイルと黒オリーブを加えました。
実食
お腹が空いていたので作ってすぐにガブリつきました。アラビアータソースと他の食材の相性がよく、あまりにも美味しかったので二口ぐらい無心になって食べていました。危うくハムがセイタンであることを見失いかけたところで思い出しセイタンだけ取り出し食べてみました。セイタンだけだと、やはり香辛料の味が強くハムという感じはしません。しかしながら、他の食材と合わせることでその香辛料が紛れるため、燻製の香りと限りなくハムに近い舌触りと食感が「ハムを食べている。」という錯覚を起こさせます。
以前食べたセイタンのステーキが肉とは程遠い味だったので、あまり期待はしていませんでしたが見事に想像を上回ってきました。
製造会社「Wheaty」の紹介と他の商品
「Wheaty」について
Wheatyは、ドイツのビーガン向け食品製造会社です。
豆腐に魅了されたドイツ人創業者
創設者であるKlaus Gaiserさん(ドイツ語なので読みが分かりません)は70年代半ばに研究の為にアジア諸国を訪れました。中国学、日本学を勉強していた彼は留学中にアジアの伝統食に魅了されます。日本では、日本酒醸造所やお寺で多くの時間を過ごしました。そして鎌倉にある老舗豆腐屋で豆腐づくりの技術を学んだことが人生の転機となります。ドイツに帰国後、まずは自分用とアジア人の友人の為に豆腐を製造し始めます。そしてわずか数ヶ月後にはドイツでの豆腐作りに成功しました。小さなスペースで始めた豆腐製造は、その後、着々と需要が高まり、1980年には企業としてオーガニックの豆腐を販売し始めます。1984年には「Yamato Tofuhaus GmbH」として公式的に会社登記に加わり、健康食品マーケットからの出資を受けさらに製造量は増加の一途を辿っていきます。
その後、当時全く知られていなかった肉の代替え商品セイタンを会社の主要食品へと移行していきます。最初は、自宅のリビングルームとこれまた小さなスペースから製品作りをし始めますが、すぐにヒット商品となり、見事にヨーロッパのセイタン商品の地位を確立しました。大企業になろうとも、素材や製造への妥協はせずに持続可能な方法で製品作りを心がけているそうです。例えば、今日問題視されているパルムオイルは、ニュースとして取り上げられる以前から疑問を抱いていた為に使用を避けていたと言います。こうして、こだわり抜いて作られる商品は今では約50種類にもなり、16カ国で販売されています。
他の商品
・ハンバーガーのパティー
・チーズ
まとめ
今回は、ドイツのセイタンでできたハムを紹介しました。企業を調べてみると、日本と深い関わりがあったことに驚きました。ブームの先駆け者として、そして古くから環境と健康を意識し、いくつものヒット商品を生み出しているWheaty社に今後も注目です。
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